「おとおさん、ぼく けんどうしたい!」
突然の君の言葉に、戸惑いと驚きを隠せずにいた。
それまで通っていたサッカー教室のコーチに、自分で辞めることを伝えに行った君にどれだけの覚悟があったのだろう。
決して器用じゃない君の剣道はどこまでも真っ直ぐ。
小学校生活は剣道と共にあった。スポ少の他に、近くの道場に通い、週末は試合の繰り返し。
決して強いわけじゃない。試合の度に、涙と反省の日々。それでも君の口から「辞めたい」とか「行きたくない」という言葉は決して出なかった。
中学に入り迷わず剣道部へ。
スポ少とは違って、厳しい稽古。気の置けない仲間と良き先輩に囲まれ、夢中で汗を流す。
錬成会や試合の会場では、他チームの同級生と戯れる君の姿。剣道を通して培った友情。誰とでも打ち解ける君の長所。
気がつけば3年生。
部長、大将、おまけに生徒会長まで。
その急に伸びた君の肩にはいくつの責任が乗っているのだろうと心配することもあった。
大きな怪我をすることも無く、間もなく最後の中体連。
ところが・・・
壮行式の前日、夜突然の発熱。
風邪薬飲んで一晩寝れば、治るだろうと高をくくっていたんだけど、一向に下がらない熱。
解熱剤で一時、平熱になるものの、薬がきれるとまた熱が上がりはじめる。
本日木曜日、朝まだ微熱がつづく。
今週一度も稽古していないという現実。不安から涙が出てくる。それを振り払う為、昨日断髪式!
四日間、風呂に入っていない君の頭は父と同じ臭いだそうだ(母 談)
勝ち負けにこだわることなく、君の真っ直ぐな剣道を貫いて欲しい。