10年前の今日。
ボクたち夫婦を襲った出来事。人の親になるという不思議な喜びから一転した出来事。
一人主治医の先生に呼ばれて、状況を説明されているときも、ボクは心の中でドラマや小説を読んでいるような感覚でいたんだ。それは妙に現実味のない話。
先生の放つ絶望的な一言一言が全然他人事のような感覚。そしてドラマや小説のように、何とか良い結果に転んでいくような結末を想像していた。
でも現実は奇跡も救世主も現れなかった。現実の前に立ち尽くすボクの前に、試験管に入れられた娘がいた。必死に生きようとしている娘がいた。
結局11時間この世に生きた、ボク達の娘はChiチャンに抱かれながら往ってしまった。
10年前29歳だったボクは、すべてが夢であってほしいと真面目に願った。毎晩涙する妻に何と声をかけて良いのか分からず、自分の頼りなさを情けなく思った。そのとき10年経てば、この悲しみもきっと乗り越えられると思っていた。
10年経って・・・・確かに涙が出ることは無くなったけど、悲しみが無くなったわけじゃない。今日も仏壇に手を合わせながら考えた。もしキミが生きて小学4年生だったら・・・・涙が出そうになった。
一年に一度だけ、娘を持つ親の気持ちになる日。