照りつける太陽。
響き渡る蝉時雨。
額には光る汗。
見上げれば青い空と白い雲。
片手に持った虫取り網。
首から提げた虫篭。
どこからか西瓜売りの声。
テレビに映る高校野球。
耳に聞こえる風鈴の音。
団扇片手に西瓜を食べてた。
そんな夏の日。
そんな夏が大好きだった。
ボクが夏を好きなのは、少年の頃に戻れるから。川遊びも海水浴も虫取りもあの頃と同じ。
ボクが夏を好きなのは、短い命の季節だから。虫も魚も花たちも一生懸命生きてるから。
そんな夏ももう終わる。
36回目の夏ももう終わる。
大人になったら何になりたかった?
ずっと夏休みがいい~!
(『岳』より)
そんな大人にボクはなりたかった。
ボクの目はあの頃のように輝いているだろうか?
ボクの胸はあの頃のように時めいているだろうか?
ヒグラシがボクにそんなことを考えさせる。