ちょっとユーモアがあって、頑固な一面もある祖母。ボクが小さなころから時に優しく、時に厳しく接してくてたっけ・・・。
大正、昭和、平成という激動の時代を7年前に亡くなった祖父とともに生き、家業を支え続けた。
今年の春ごろだっただろうか。毎朝の日課で祖母が廊下のモップがけ(リハビリ兼ねて)をしていた際、廊下にあった腰掛に座って外を眺めていた。東側の窓の外には、朝日が差し込み祖母の顔を照らしていた。ふとボクに気付いた祖母はポツリとこんな言葉を呟いた。
「朝日ってこだいきれいなんだっけね~初めで見だなあ」
もちろん初めての訳はないのだが(御年90歳)、長年生きてきても、太陽が昇る光をきれいだな~と思える祖母が素敵に見えた。
でも今年の大雪も
「こだい雪降ったのはじめてだ」
というくらいだから、祖母得意のユーモアだったのかもしれないけど。
今年40になるボクを捕まえて
「おがったなあ(おおきくなったなあ)」
というのはいつものことで(笑)
そんな祖母との会話の中で、ボクが忘れることが出来ない言葉がある。
あれは、ボクが高校生の頃、家業を継ぐかどうかで悩んでいたときのことだ。そのときも廊下で庭を眺めながらの会話だった。
祖母の話は、家の仕事は無くては困る人がいるということ、そういう人たちのお蔭でお前は高校にも通わせていただいているんだということ。古臭い考えなのかもしれないけど、妙に納得できて、その言葉がボクの背中を押したのは確かだ。
祖母は最後に
「まあ がんばらっしゃい!」
と言って確かな足取りで廊下を歩いて行った。
最近はShuのことが大好きで、すごく気にかけていてくれた。Shuの運動会や音楽会、剣道の試合のビデオを時折涙を滲ませながら見ていたっけ。
22日朝、入院中の祖母が肺炎になったとの連絡があった。午後からちょっと時間があったボクは病院に行こうと思った・・・でもなぜか行かなかった・・・・。明日行こうと思ってた。
でも23日未明、祖母は旅立った。
どこからか「まあ がんばらっしゃい!」の声が聞こえた・・・・。
葬儀が終わり、ふと見上げると綺麗な月がボクらを照らしていた。
ばあちゃん ありがとう。